月夜の庭月夜の庭
ぷちへぶんとは違ってゆずるの人格が少々破壊気味。
大人しくて礼儀正しい管理人だけが好きだって人は速やかに回れ右。
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ろくなこと思いつかないんだよ、このおにいさんは!
「う~ん、随分負けが込んだね、ゆかりちゃん」
「………そうですね」
睨んだってカードの数字が変わる訳じゃない。どう見たってこれは、見事な19連敗ってヤツだ。
「単純なゲームなんだけどね、ブラックジャックって」
「………すいませんね、足し算もろくにできませんで」
21に近づけること。こんなアホでも判るルールを知ってるからって、勝負運が上がるわけじゃない。
むしろ持って生まれたアンラッキーの星は、本日も頭上にて絶賛輝き中なんである。下手すりゃ当社比120%マシかもね、ははははは…。
日曜日の、とっても良いお天気に、なんでリビングに籠もってなんで面白くもないゲームに興じているのか。
吐息混じりにカードを山に戻しながら、私は事の起こりに思いを馳せてみた。
…まず、不用意におにいさんに声なんぞかけたのがまずかった。
『たまの休みなんだし、ちょっと休んだらどうですか』
朝早くから書斎で仕事をしていた人を心配してみたんだけど、それは自分の墓穴を掘ることに他ならず。
ドア越しに顔を覗かせた私を易々と捕らえた彼は、マジ楽しそうに言ったっけな。
『じゃ、お言葉に甘えて。ゆかりちゃん膝貸してね』
冗談ではありません。なんで膝枕?!恥ずかしいし、その手のスキンシップはお断りなんだから!
と、激しく抵抗してみたんだけど、なんでだかいつの間にか、トランプで勝ったら言うこと聞いてあげるなんて、理不尽な条件を付けられるに至りましてね…。
負けに負けたり19連敗の現状と相成るわけでございます。
「どうする?もう一勝負する?次勝てたら、これまでの分を無かったことにしてあげるよ」
「………いい加減、私だって学習するんです」
そう、この甘言に見事乗っかって、連敗記録を伸ばしていったのだ。そろそろ打ち止めにできなきゃ、人生が打ち止めになりそうなんで、首をふる。
ブンブンブンブン、千切れそうな勢いで強く否定。
「残念。もう何回分かは稼ぐつもりだったんだけどな」
やっぱりそんなつもりか!
睨み付けたこっちの内心を微笑みでかわして、おにいさんは素早く近づくと床に座り込んでいた私の膝を占領にかかる。
「え、い、もうですかっ」
「だって、すぐにも休んだ方がゆかりちゃんの希望に叶うでしょ」
「う、う~~~」
こうして、人の親切を逆手に取った彼は本気でころりと転がってしまったのだ。
「はは、気持ちいいね」
「そ、そうですかぁ…?」
引きつりつつ、この近さは反則だと早鐘を打つ心臓を押さえた。
思い出にするには悪夢のような一夜以来、同意の上で触れ合うのは初めてで、恐いような嬉しいような。
同居してからはおにいさんが信用に足る人物だと分かったけど、微妙に変化していく自分の気持ちに理性がついていかないのが本音。
嫌いじゃない、好きだけど、恋愛とのボーダーはすごく曖昧。
だから、無闇に触ったりしたくないの。せっかく見ないふりしてる何かが、活性化したらやっかいなんだもん。
「ね、ゆかりちゃん」
だけど、敵に容赦はない。
「一つ提案」
天使の如く微笑んで、悪魔の取引を持ちかける。
「2つ分の負けを、キス一つで消してあげる」
嫣然と、それは、ゆらゆら不安定だった気持ちを、揺さぶる強さで。
「そうして、そのまま唇を開くことができたら、負けを3つ。どう?膝枕も含めて一度に6つの負けが無くなるよ」
僅かの逡巡は、微かな抵抗。
そろり、触れた唇は、息がつまるほど、苦しくて。
www4.pf-x.net/~mikage/ ←配布元:TV様です
「う~ん、随分負けが込んだね、ゆかりちゃん」
「………そうですね」
睨んだってカードの数字が変わる訳じゃない。どう見たってこれは、見事な19連敗ってヤツだ。
「単純なゲームなんだけどね、ブラックジャックって」
「………すいませんね、足し算もろくにできませんで」
21に近づけること。こんなアホでも判るルールを知ってるからって、勝負運が上がるわけじゃない。
むしろ持って生まれたアンラッキーの星は、本日も頭上にて絶賛輝き中なんである。下手すりゃ当社比120%マシかもね、ははははは…。
日曜日の、とっても良いお天気に、なんでリビングに籠もってなんで面白くもないゲームに興じているのか。
吐息混じりにカードを山に戻しながら、私は事の起こりに思いを馳せてみた。
…まず、不用意におにいさんに声なんぞかけたのがまずかった。
『たまの休みなんだし、ちょっと休んだらどうですか』
朝早くから書斎で仕事をしていた人を心配してみたんだけど、それは自分の墓穴を掘ることに他ならず。
ドア越しに顔を覗かせた私を易々と捕らえた彼は、マジ楽しそうに言ったっけな。
『じゃ、お言葉に甘えて。ゆかりちゃん膝貸してね』
冗談ではありません。なんで膝枕?!恥ずかしいし、その手のスキンシップはお断りなんだから!
と、激しく抵抗してみたんだけど、なんでだかいつの間にか、トランプで勝ったら言うこと聞いてあげるなんて、理不尽な条件を付けられるに至りましてね…。
負けに負けたり19連敗の現状と相成るわけでございます。
「どうする?もう一勝負する?次勝てたら、これまでの分を無かったことにしてあげるよ」
「………いい加減、私だって学習するんです」
そう、この甘言に見事乗っかって、連敗記録を伸ばしていったのだ。そろそろ打ち止めにできなきゃ、人生が打ち止めになりそうなんで、首をふる。
ブンブンブンブン、千切れそうな勢いで強く否定。
「残念。もう何回分かは稼ぐつもりだったんだけどな」
やっぱりそんなつもりか!
睨み付けたこっちの内心を微笑みでかわして、おにいさんは素早く近づくと床に座り込んでいた私の膝を占領にかかる。
「え、い、もうですかっ」
「だって、すぐにも休んだ方がゆかりちゃんの希望に叶うでしょ」
「う、う~~~」
こうして、人の親切を逆手に取った彼は本気でころりと転がってしまったのだ。
「はは、気持ちいいね」
「そ、そうですかぁ…?」
引きつりつつ、この近さは反則だと早鐘を打つ心臓を押さえた。
思い出にするには悪夢のような一夜以来、同意の上で触れ合うのは初めてで、恐いような嬉しいような。
同居してからはおにいさんが信用に足る人物だと分かったけど、微妙に変化していく自分の気持ちに理性がついていかないのが本音。
嫌いじゃない、好きだけど、恋愛とのボーダーはすごく曖昧。
だから、無闇に触ったりしたくないの。せっかく見ないふりしてる何かが、活性化したらやっかいなんだもん。
「ね、ゆかりちゃん」
だけど、敵に容赦はない。
「一つ提案」
天使の如く微笑んで、悪魔の取引を持ちかける。
「2つ分の負けを、キス一つで消してあげる」
嫣然と、それは、ゆらゆら不安定だった気持ちを、揺さぶる強さで。
「そうして、そのまま唇を開くことができたら、負けを3つ。どう?膝枕も含めて一度に6つの負けが無くなるよ」
僅かの逡巡は、微かな抵抗。
そろり、触れた唇は、息がつまるほど、苦しくて。
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